あらすじ~信人の場合そしてエンディング

信人はかつて子ども時代を過ごしたあの島に戻っていました。警察官から逃げていましたが、まさか自分を追いかけていた警官がイサムと知って思わず嬉しかったのでしょう。子どもの頃から勇にどもりのことをからかわれてはいましたが、信人は久しぶりに幼い時代に一緒に同じ時間を過ごした旧友に会えて嬉しかったのです。そして勇も久しぶりに会えた喜びもあるはずですが、それよりも子どもの頃に信人をからかっていじめていたことを悔やんでいたのかもしれません。

子どもは時として、とても残酷です。大人よりももっとストレートに言葉をぶつけて、相手を傷つけてしまいます。そして信人を決してキライなわけでもないのに、自分のもどかしさを解決することができないために、弱い信人へとイジメという形で吐き出されていたのでした。そして生まれながらに過酷な宿命を背負うかのように、信人は友人たちからいじめられ残酷な言葉に傷つき、そして自分に光を当ててくれたはる先生が島を去った時には、とても打ちひしがれてしまいました。どうして・・・どうして・・島を離れてしまうの??!!僕を置いていってしまうの。。。信人少年は深く深く傷ついていたのでした。そして久しぶりに会った信人くんは、はる先生を責めることもしません。

北のカナリア:信人の場合

信人は、子ども時代と同じようにどもりを抱えていますが、どもりながらも全面的に自供を始めます。刑事(石橋蓮司)の取調べに、勇も立ち会いますが取り調べには一切口を挟みません。どうして信人は自分が働く会社の社長を殺してしまったのでしょうか?!

信人の働く会社の社長は、いつも自分の妻「カズミ」に対して暴力をふるっていました。いつも暴力を受け続けている奥さんに、信人は同乗していました。そして同情から始まった感情でしたが、いつのまにか同情から愛情へと変化していました。そして「カズミ」が、夫と離婚が成立した段階で、信人と結婚する約束も既に交わしていました。

そして結婚式には「はな先生も呼びたいんだけど、来てくれるかな。」とそんな会話をしている時に、社長が彼女についてひどい言葉を投げつけたのでした。ひどい言葉は決して口にしてはいけない言葉です。

いつの間にか信人は社長ともみ合いになり、そして気がつけば社長はなくなっていました。信人ははずみで、社長を殺してしまったのでした。

幼い時に信人は、両親を亡くしていたため、信人は祖父に育てられていました。ところがはるが島から離れた後に、信人を育ててくれていた祖父も亡くなってしまい、信人は親戚の家で冷遇されていました。中学を卒業すると同時に、信人はとび職についていました。信人は極度の吃音があり、そして軽度の知的障害もあるため、いやおうなく信人は厳しい人生を強いられていたのです。

信人は「ボクもどもりで、ずっといじめられていたから。カズミさんが殴られるいるのは、とても辛くて、苦しくて、だから・・・」と少しずつ告白していきます。

はる先生が島から去っていく時に、信人は先生に一度は石をぶつていますが、その後に「弟に見立てた人形」を先生に投げつけて「行かないで~!」と叫んでいました。ノブにとっては、とても大事な分身のような存在の人形を手放してさえも、はる先生を引き止めたかったのでしょう。勇は見捨てられたと思ったといいますが、素直に信人は6人の中でただひとり「先生に行かないで!」という気持ちをストレートにぶつけたのでした。

ノブは先生の住所を知っていただけではありませんでした。先生に電話をかけていました。そして、はる先生も「20年前の宿題」そるようにと、ノブに電話で話をします。20年前の宿題は、歌にあるカナリアの気持ちを考えてくることです。

いよいよ信人が所轄に移送される日がやってきました。ところがパトカーが向ったのは、港ではなく岬でした。

歌を忘れたカナリア:全員の合唱

はるがまだ先生として働いていた頃、20年前にはるが出した宿題は【歌を忘れたカナリアは、何をかんがえたのでしょうか?】というものでした。

そして信人の手元にかけられていた手錠が、刑事の温情から外されます。そして今では廃校になった校舎に信人と他の生徒達の5名、合計6人の同窓生が揃っています。そしてかつてと同じように、全員が揃った校舎では、はる先生のやり残した最後の授業が始まるのでした。

そして6人は、すれ違いでバラバラになり離れ離れになっていましたが、再び再会を果たして「かなりあ」を歌い上げます。6人が揃いましたが、全員の心によぎるのは子ども時代の20年前の分校での光景です。そして、最後に黒板に書かれた歌を歌うのでした。

そして、ひとりひとりが見送る言葉を信人に送ります。そしてはる先生は「みんな、あなたが好きだから!」と言うのでした。

その場に立ち会っている若い刑事は、先輩刑事に語りかけます。「先輩、あの先生にはやられましたね。先生の家を訪問したばかりの直後に、通話記録が見つかったんですが通話記録は鈴木信人からのでした。“分教場で会おう”って話したそうですよ。」

手錠を外させた先輩刑事は「あの警官(つまり勇)が、オレに土下座したんだよ。容疑者をなんとか分校で会わせてほしいと。」 刑事たちは分校の庭で、信人とはるに少しではありますが時間を与えます。「先生、おれ生きていてもいいですか?!」そしてノブが発した言葉は、奇しくも人質を守れなかった元刑事(仲村トオル)が、かつてはるに最後に洩らしたものと同じ言葉でした。そして、かつて自殺願望のあったはるの不倫相手の下刑事は「生きている」とだけ描かれた手紙を定期的に送っていることが明らかになり、はる先生は「生きていいんだよね?」と尋ねてきた信人に「辛くてもいいのよ。生きていて・・」と言います。

はると不倫相手20年前の、あのバーベキューの日に抱き合っていたのは最後の抱擁だったのでした。そして、かつてはるの不倫を攻めていたはるの父親からも、「お前は精一杯生きたんだ。だからもう自分を許してあげなさい。」とはるも諭されるのでした。

映画「北のカナリアたち」のあらすじをすべて・・・

冬の美しい厳しい映像や高倉健さん×降旗コンビでも撮影を担当したキャメラマンの木村さんが、東映60周年記念作品「北のカナリアたち」で撮影を担当しています。主演は吉永小百合さん、そして若手実力派俳優が教え子として登場しますが、森山未來さんの演技には驚かされることでしょう。北海道の最北端の離島を舞台にした映像美と、原作湊かなえさんのミステリーも楽しめるとても豪華な作品になっています。